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ぴかろんの日常

ぴかろんの日常

(企画)ミンギ 映画撮影中 7

「かーっと!ちょっとぉぉ!ギョンジンさんっここは反抗的になってるラブちゃんをこっぴどく叱って一流のスパイに導くカッコイイシーンなんですからぁ、本気でバシーンとラブちゃんを殴らなくちゃ」
「そんな事できるわけないじゃああああん(;_;)」
「…いいのに…殴っても…」
「だめぇぇっ殴るなら僕を殴ってぇぇぇ(;_;)」
「…」
「…ラブちゃん…ちょっと聞くけどぉ、テジュンさんから情報を貰うときのあの声だけのシーンね、テジュンさんの喘ぎが妙に生々しい気がしたんだけどぉ…まさか…」
「まさかラブ!」
「にゃんらって?ラブましゃかてじゅになんかしたのかっ?」
「やだなぁギンちゃんもイナさんもついでにギョンジンもぉ…演技演技」
「…その演技がどの程度までなのか教えてくんないかなぁ…」
「…んと…ジホさんがぁ…『演技とはいえ本気でやらなきゃ臨場感がない』って言ったからぁ…」
「「「何したのぉぉぉっ」」」
「…そんな…大したことしてないよ…ちょっと…背中にキス」
「「「しょええええっ」」」
「まさかジホさん、またビデオ回してた?」
「ううん、本格的に引きでカメラ回してた」
「…はぁぁぁっ…一体何やりたいのっ」
「ねぇそれよりさぁ…全然話、進んでないと思うけどいいの?」
「…」
「それと、ギョンジン、頬を掴む時はもっとキュッと掴んでよね、自分でアヒル口にしなきゃなんないの、疲れるし。あっそれと、唇寄せるシーン、寄せるだけなのに何回もキスしないでよね!それと冷たく見るのがどうしてできないの?ダメじゃん!何度取り直ししてるのさ、それと…」
「ああんミンギくぅん…僕ラブにひどいことなんかできないからこのシーンやめてくだしゃいいい…」
「…だってジホ監督がこうした方が面白くなるってぇ…(;_;)」

口論の続いているミンギたちを遠くで眺めながらテソンと闇夜が囁きあっている

「ミンギ、完全に踊らされてるね」
「さすがはジホさんだね、人間の無限の可能性を引き出して…ククク…」
「…どういう結末にする気なんだろうねぇ」
「結末はミンギがなんとか纏めなきゃいけないんでしょ?」
「「アアメン…ケヒヒヒ」」


スイートルーム再び   オリーさん

シェラトン・グランデ・ウォーカーヒル、スイートルームのドアの前に人影
わずかに時間をかけた後ドアを開け中に入る

「ミンっ!」
「どうしたのっ!心配したんだから」
抱き合う二人、ついでにキスもする二人
「何食べたの?」
「え」
「ここで何食べたの?」
「な、何も食べない」
「嘘つき。チーズケーキ、チョコパン、クリームパン、その他もろもろ食べたでしょ」
「はうっ!」
「はうじゃないでしょ!」
「そのためにキスしたの?」
「それもあります」
「・・・」
「でもいい。無事だったから。それにこれ、僕のために用意してくれたんでしょ」
ポケットから指輪を出すギョンビン
ガラスの目玉で見つめ返すミンチョル
再び抱き合う二人

抱擁の後、抱き合ったまま話をする二人
「どうしてスイートルームのはしごなんかしてるの?さっきはあっちのスイート今度はこっちのスイート。
お金の無駄遣いはだめ。僕達には立派なマンションがあるじゃないか」
「はしごじゃない。今は監禁されてるんだ。鍵がロックされてただろ?」
「あんなのロックのうちに入らないよ。でも誰に監禁されたの?」
「ソンジェだ」
「詳しく話して」
「別のスイートルームでミンだと思ってドアを開けたらいきなり腹にパンチを食らって気を失ったらしい」
「この腹にパンチが入った・・やはりプロか」
「どういう意味だ?」
「いいから続けて」
「縛られて倉庫に放置されていたらMr. Nが助けてくれた」
「誰?」
「Mr.N」
「嘘はだめ」
「嘘じゃない!」
「Nは今拉致されていてみんな必死で探してるんだ。きっと別人だよ」
「でも付け毛してて僕に似てた」
「それで?」
「Nはすぐいなくなって、そこへソンジェが来てここに連れて来られた」
「意味不明だ」
「ソンジェは僕に嫉妬してる」
「どうして?」
「あいつの方が背が高くて小顔で元医学生で料理もうまいのに、僕の方が人気があるのからだそうだ」
「そんなの理由にならない」
「だろ」
「でも」
「でも?」
「あなたにも罪がある」
「どうして?」
「あなたの存在そのものが犯罪なんだ」
「・・」
「ここに立っているだけで僕は気が狂いそうだ」
「ミン・・」
二人またひしと抱擁に入る

「ミンギ、やけに絡み多くないか」
「多いっす」
「想定内か」
「想定はしてましたが予想以上です」
「やはりか」
「監督が気の向くままにあちこちであんなシーンばっか撮ってるからですよっ!」
「映画の原点、基本だ」
「もう時間も予算もオーバー気味なんだから、ったく!」
「ミンギ怒ってるの?」
「フンッ!」

抱擁の終わった二人
「でもなぜこんないい条件で監禁なんだろう」
「いい条件?」
「監禁なのにスイートルーム、それにたくさんの食料・・」
「一ヶ月分だそうだ」
「一ヶ月も監禁するつもりだったのか。かなり手の込んだ計画に違いない」
「そうなのか」
「ボスに連絡します」
「ボス・・」

携帯を取り出し事務的に話すギョンビン
「ギョンビンです。銀狐確保。今は小康状態。ただ銀狐はMr. Nに会ったと言ってます。はい、そうです。
いえ、その辺は疑問の余地があります。その後実の弟にウォーカーヒルのスイートに監禁されていました」
「ミン、銀狐って・・」
「そうですね、本部に連れて行きます。明日でいいでしょうか。今日は僕が責任を持って確保します。
明日朝一番に本部に連行しますので、はい。確かに。了解」
「ミン、本部に連行って・・僕を疑ってる?」
「そうじゃないよ。でもどんな事でも客観的に分析して情報の信憑性を確かめないと。
僕はそう訓練されてる。たとえ相手が親でも恋人でもね」
「ミン・・」
「信じてるよ、でもこれが僕の仕事だ」
「ミン・・」
「何?」
「かっくいいっ!」
「そう・・照れるな。じゃもう一回言おうか」
「いや、いい。押してるみたいだから次行こう」
「あ、はい」

立ち位置を確認して続けるふたり
「そして、それが終わったら治療もしないといけない」
「治療?」
「そう、中毒の」
「あ」
「いいんだ、僕にはわかってる。隠さなくていいよ」
「ミン・・僕は・・」
「いいよ、僕が力になる。二人で一緒に頑張ろう」
「できるかな・・このごろ症状がすごく進んだ気がする」
「だめだよ、弱気になっちゃ。今のうちに脇腹をしめておかないと大変な事になる」
「大変な事?」
「毎晩の作業に差し障りが出る」
「毎晩の作業?」
「体が締まってないと、寝室で色々試せない。それでもいいの?」
「ああミン、そこまで考えていてくれたのか」
「当たり前じゃないか。僕ら二人の大事なことだよ」
「僕が悪かった。もう甘いものは食べない・ようにするかもしれない・・
じゃなくて食べないって言い切る・・って難しい。
でも脇腹をすっきりさせる・・よう努力する・・のを手伝ってね・・」
再び抱擁に入る二人

「もうカットしますよ、さっきからこればっか」
「チョイ待て。デコから鼻イって下唇イって上唇イってそれが終わってやっと全体覆ってここまでが前振り。
次にほら本格的に吸い付いて、舌入れて、引っかき回してまた吸い付いてううん、すごいっ!
キスひとつでこれだけかあ・・深いっ!ミンギ、よく見ておけっ!プライベートでも参考になるぞ」
「もう、僕いいっす。こないだからずっとこんなでお腹いっぱいすから。
ミンチョルさん、ギョンビンさん、終わったら合図してください、そこで切りますからあ!」
「やけになるな、ミンギ」
「うるさいっ、エロ監督っ!」
「ひんっ!」

何度かの抱擁を経て、撮影は深夜に及んだ
くたびれたスタッフ一同は、せっかくスイート借りたのだからと、そのまま泊ることになったが、
ミンチョルとギョンビンはここは狭い、と言い残して帰ったとのこと


替え歌 「スイート・ストーリー」 by ミン ロージーさん

これっきり これっきりもう これっきりですか
これっきり これっきりもう これっきりですか

部屋の灯りが映しだす
あなたの中の見知らぬ影
僕の願いを踏みにじる
誰かに今日は 聞きたいのです

これっきり これっきり もうこれっきりですか
これっきり これっきり もうこれっきりですか

どうかお願い じゃまをしないで
彼は僕の 大切な人
ここは スイート

一緒にいても心だけ
ひとり勝手に旅立つ人
僕の気もちを知りながら
あなたに今日は聞きたいのです

これっきり これっきり もうこれっきりですか
これっきり これっきり もうこれっきりですか

愛し唇 ひきよせたなら
甘い香り まだするでしょうか
ここは スイート

自分でそれと気づかずに
可愛い罪を重ねる人
それでも僕は熱いキスで
芯までとけてしまいそうです

これっきり これっきり もうこれっきりだから
これっきり これっきり もうこれっきりだから

そう言いながら 明日もあなたは
甘い波に 溺れるのでしょう
ここは スイート


(山口百恵『横須賀ストーリー』)


冷静な判断  ぴかろん

(パン屋レジ)
チンピラ軍団のテプン、ジュンホ、シチュン、テスがそれぞれパンをトレイに乗せて並んでいる
「…なんだよ、お前らみたいな連中が集団で買いに来ちゃ、普通のお客さんが怖がって入ってこれねぇだろ!」
「そういうなよ、チェミのおっさんよぉ。俺はこのくりいむぱんを家族全員に食わしてやりてぇんだ!姉貴、弟、妹二人、俺の息子、姉貴の彼氏、弟の彼女、妹の彼氏達、それとぉ…姉貴や妹の彼氏は身寄りがねぇからいいんだけどよ、弟の彼女には両親がいるんだ…怖い親父だからよ、一個じゃ足んねぇ…ええっとだから…最低二十個はほしいんだ!でもよぉ…俺よぉ…金がねぇんだよな…。だからよぉ…」
「失敗作でいいなら持っていけ!」
「うぉぉぉんありがとよ、チェミの旦那ぁぁ…俺あんたの命令ならなんでも聞くぜぇぇっ。でもタダじゃ悪いからこれ…」

コロロンと500ウォン玉を転がし、失敗くりいむぱん二十個をせしめるテプン

「チェミのだんなぁ、俺もくりいむぱんが好きなんだけどな、太るからって彼女と半分こさせられるんだよな…。なんかよう、違ううめぇパンないかなぁ…」
「試作品だがハーブいりフランスパンだ。これを彼女に食わせてやれ、『やせるかもしれない』とかなんとか呟いてな。その隙にお前がくりいむぱんと、ほれ、新作『五穀くりあんぱん』、これをシチュン、お前が食えばいい。フランスパンは咀嚼に時間がかかるからな…」
「うわぉぉぉぉっさんきゅう!嬉しいぜ。一個まるまる食いたかったんだよぉぉ」
『あの、いつもくりいむぱんを買いに来る子供のような瞳だ…。ふっ』

「ちぇみさん、ぼくのうちもかぞくがおおくていったいいくつかえばたりるのかわからなくなります」
「おおジュンホ君、そうだな、君の家は病院だからな…。三十個ほど持っていくか?」
「はい。いくらですか?」
「いいよ。失敗作でいいならタダだ」
「いえ。おかねのことはだいじょうぶです。りょうしゅうしょ、きっていただければ『けいひ』でおとせますから」
「…あ…そう…」
「おいしかったらきっとびょういんのにゅういんかんじゃさんにも、だすことになりますし…」
「…でも病人には…」
「だいじょうぶ。さんふじんかですから。こんなびじねすちゃんすをのがすてはありませんよ、ちぇみさん…」
「…はは…。ジュンホ君に言われるとは思わなかったなぁ」
「ぼくはひび、べんきょうしています」
「頑張りたまえ!」『いいなぁ純粋で研究熱心だし、状況判断や分析にも優れているような気がしてならない。うう…BHC本部にスカウトしたい!』

「チェミさん」
「おおおうってててテス」
「だめだよ、ジュンホ君は…」
「なんで!」
「…報告書が全部ひらがなだ…」
「…」『韓国なのにひらがなか…』(^^;;)
「それよりコレ…例のもの…」
「…うまく行ったか?」
「バッチシ。後はよろしくね」
「いつもすまんな」
「どういたしまして」
「礼は後でまとめてたっぷり…」
「…ふふん。ストレッチに励んでおいてね。じゃね」

ばいばーいと手をふって店を出て行くテスのちんぴら軍団を笑顔で見送るチェミボス
彼らが見えなくなってから大急ぎで本部地下通路へと駆け下り、エレベーターに乗る
途中、躓いてこけ、そのまま前転してすくっと立ち上がり走り続けること…

(本部会議室)
表情の堅いスヒョク、気まずそうなソク、赤くなった頬に手をあてて涙ぐむラブ、毅然としているギョンジン、みんなの様子をおろおろして見ているイナ、通信室から様子を窺うテソン、そしてチェミボス

「ボス、さっき掴みかけた眼鏡男と可愛い眼鏡取り男の捜査に行かせてください!」
「まぁまてギョンジン。もうすぐ分析結果が出る。それからでも遅くはないだろう…。幸い銀狐はミンが確保した」
「えっ『厳格王』が?!」
「…。ここでは『ミン』でいいだろう…。とにかく、銀狐はミンと一緒に明日、本部にやってくる。それまで…イナ君もここに泊まってくれるかな?」
「へっ?ここに?」
「そう。宿泊設備もある。ホテル並みだよ」
「…れも…あの…おれ…こいびとと…」
「…会いたい?」
「…ぐしゅ…会っていろいろ聞きたい…」
「…そうか…ちょうどいい。そのテジュンさんとやらにもいろいろ話を聞きたいからな」
「じゃあ俺が連れてくる!」
「ラブ!」
「俺が言えば一発でついてく…あんっ…」

ラブの顎をぐいっと掴むギョンジン

「いい加減にしろ…。これ以上人の神経逆撫でするような事をしたら…ただじゃおかん」
「…ふっ…気になるの?俺があの人と会うのがそんなに気にな…んっ…」

唇で口を塞ぐギョンジン

「噛むぞ、馬鹿野郎。僕のことじゃない!イナ君の気持ちを考えてみろ!」
「…は…。好みの男の子の事ばっかり…俺の事なんかどうでもいいんだ!」
「ラブ!」

「ったくっ!別れろ切れろは芸者の時に言え!俺に話をさせてくれっ!」
「「すみません…」」
「さっき、ミンから重要な証拠物件が届いた。今、闇夜が分析中だ。そろそろ結果が出ると思う。その分析結果に基づいて、眼鏡男たち、あるいは三馬鹿たちを捜査してほしい」
「…ボス、重要な証拠って?」
「ああスヒョク、銀狐が監禁されていた部屋の食料だ…。くりいむぱん、ちょこれーとぱん、チーズケーキ。これらが冷凍して一ヶ月分もあったらしい。そして銀狐の言動がどうもあやふやだとの報告もあった…」
「…あやふや?」
「このあいだの会議で、銀狐はシェラトン・グランデ・ウォーカーズヒル内にいるのではないか?と推測したろう?それが銀狐の話によると『倉庫に監禁されていた』だの『Mr.Nに助けてもらった』だの『はずかしいことをした』だの言って、少し錯乱しているらしいのだ」
「ミンチョルが?大丈夫かな…」
「イナ君、ミンチョル君は甘いものを食べ過ぎると変身する体質だったね?」
「…大雑把に言うとそうです。あいつの体に変化が起きるには、いろいろと複雑な糖分摂取をしなくてはならないらしいですし…」
「まぁここは大雑把にいこう。それで、だ。以前に『意識が朦朧としている』ところだとか『幻覚を見た』ところだとか、『あきらかにラリっている』ようなところを見たことはないか?」
「…そんなことは一度もなかった…。『ラリっている』ことはなかったけど、しょっちゅう『らりるれっている』のは確かだ。俺もらりるれるから…」
「ふぅむ…。明日、こちらに来てもらって、精密検査を受けてもらうか…」
「せっ精密けんさ?」
「なんだギョンジン」
「あ…僕、脳波の検査はできなくても、身体測定ならできますからお手伝いしますっ」

ばきっ☆

「てぇっ…」
「変な事しようとしてるんだろ?すけべじじい!」
「ラブ!ギョンジン!話の腰を折らんでくれい…」

ギョンジンとラブ小声で…

「泣きそうだからケンカごっこやめようね」
「くふん…」

検査室から白衣を着、サンプルと検査結果を乗せたワゴンを持ってくる闇夜
タタタっと駆け寄り、闇夜に代わってそのワゴンを押すテソン
ふっと微笑みあう二人

「おほげほん!闇夜、どうだった。薬物反応はあったか?」
「…それが…」
「なかった?」
「ただ、通常用いられる砂糖の類ではない糖類を発見しました」
「…なに?!」
「『冷凍』がミソです。報告書によると銀狐は長時間監禁され、空腹に耐えかねていた。そこで十分解凍しきっていないパンやケーキを貪り食った…。
普段なら気づくはずの異様な甘味に気づかず、短時間で高濃度の『糖類』を摂取した。それが彼の特異体質と結びついて化学反応を起こした…。という仮説が立てられます」
「…通常用いられる砂糖の類ではない糖類とは?」
「…難しいですね、市販のモノではない。という事はつきとめました。蜂蜜かと思いましたが…どうも…これは代々個人の家に伝わっている『砂糖』らしいんです」
「個人の家に伝わる砂糖?」
「多分…かなり立派な家…」
「昔貴族だったとかの?」
「…そうよ、イナ君。何か心当たりあるの?」
「…そういえば…一度だけ…。随分昔にミンチョルの弟が、『兄さん、これを食べてみな』ってミンチョルに砂糖菓子を食べさせたことがあった…。俺も少し貰ったんだけど、甘くて甘くて、口がへの字にひん曲がったまま、五分ぐらい我慢してた覚えがある…。その時ミンチョルは、『きちゅねのぬいぐるみっ!』とか『みんじ、しゃわるなっ!』とか『仲間にいれてくだしゃいっ』とか、普段のあいつらしくない言葉を呟いていたんだ…
五分経ったらいつものこまっしゃくれたあいつに戻ってたけどな…。その砂糖菓子は『あの弟の家系に先祖代々伝わるお菓子』らしい…。ああ、ご存知だろうけどミンチョルとソンジェって義理の兄弟なんだ」

「…ほほん…では…その砂糖を使ったと?」
「…ははぁん…。『りゅ家の甘白』って言われてる砂糖か?mayo。あれはどんな料理人も『素材を殺す』って使わない代物だ…」
「…なるほどね。それか。訳のわからない糖分は…。それにしてもごく僅かしか含まれてなかったのに…」
「…弟は、兄の体質を知っていた?その伝統の砂糖菓子を食べた時の兄の変化にも気づいていた…。どの程度混ぜ込めば気づかれずに兄を錯乱させられるかわかっていた…しかも弟は『料理上手』らしい…」
「テソン、繋がるね…」
「mayo!この砂糖を抽出できるかな?まだサンプルは残ってる?」
「うんテソン残ってる」
「じゃあ今から抽出して、明日銀狐が来たら…狐体実験…ってどうでしょうボス…」
「…厳格王がなんというか…」
「とにかく、それで銀狐が幻覚を見たりラリったりしたら、ビンゴでしょうが!」
「…だがそれが弟の家の砂糖だとどうしてわかる?!」
「そんな時こそ、ちんぴら達でしょ?ボス…」
「あうっ闇夜、テスたちをそんな怖ろしい任務に?」
「大丈夫。あそこんちは『甘~い』ので有名だから…。『さくら大好きでえす』『なぜ彼が主役じゃなかったのか不思議でたまらない!』『日本で一番人気があるのは○ュ・シ○ォンです』とか言ってやれば、全く警戒心なく入れてくれるよ」

ボス、テスに連絡し、『りゅ家の甘白』確保の指示
てそまよ、ミンから届けられた冷凍パンなどから、『りゅ家の甘白』を抽出するために、実験室へ…
ラブとギョンジンは、眼鏡男の捜査に繰り出し、
テソマヨがいないのでスヒョクとソクが通信室に残る

ちっ「『リニア、金庫破り』まだSGWHにいるか?」
ちっ『…んっ…あっ…はっはははっはいっ!』
『んっ…ドンヒ…途中でやめちゃいやだ…』
『ばかっ!聞こえる!』
「あー。コホ。すまんがカクカクシカジカで、そこの総支配人、ハン・テジュン氏を連れてきてくれないか」
『ん…』
「あー。聞いているのか?!」
『…んむんむ…ふぁぃ…了解しました…んむ』
『唇つけたまま喋るな…』
『だって好きらろ?これ』
『BHCの皆、これが好きみたいらな…くふ』
『…んむんむ…』
「至急だぞ…お前ら…」
『んむ…了解…あ…ん…』
「20分以内に到着しない場合、コンビを解消、ホンピョはジホの監視下に置くがいいかな?」
『『だめっ!すぐ行きますっ』』ダダダダダタ
「これでよし…。イナ君、涙ぐんでないで…。彼が来たら二人でゆっくり話し合いなさい。ただし、我々の調査が終わってからだけどね…」
「…はい…」
「ところで君、回し蹴りできるんだって?」
「…はい…、とび蹴りも…」
「そう。ギョンジンが『お色気要員を増やしたい』って言ってるんだが…きみ、スパイにならない?」
「えっ?…」



「かーっとぉぉぉ。よっしゃあ!これでジホ監督が勝手に推し進めた部分の半分がうまく繋がったですっ」
「…でもまだ謎が…、Mr.Nは?倉庫は?」
「…大丈夫。『りゅ家の甘白』のせいにします!」
「…筋書き甘くない?」
「大丈夫です!なんでもアリですからっ」
「…で、ドンジュンはどうなってるの?」
「あっ!」
「チョンマンの航空チケットどこ?」
「僕はしらないっす」
「っていうか、チョンマンどこ?」
「…僕は…しらないっす…」
「さっきジホさんと二人でどっかに行きましたよぉ」
「…もう…ほっときましょうよ…」
「…いいのかなぁ…」
「とにかく、この続きは休憩後にぃっ」


甘白の誘惑  ぴかろん

(本部)
連れてこられた銀狐、ミン、ギョンジン、ラブ、テソン、そしてボスがいる
ソクと闇夜は通信室
闇夜、銀狐の取調べを盗撮

「ボス、彼が僕の彼です」
「…。ややこしい紹介の仕方だな…。まぁいい。ミンチョルさん、ご足労いただき申し訳ない。捜査にご協力を…」

ミンチョル、怯えた瞳でミンに縋りつく

「大丈夫。僕がついてる。悪いようにはしない…」
「ミン…でも…」

抱擁し、くちづけるミン

「あーげほっミンよ!ちっと控え目に頼む!」
「彼を落ち着かせるためです!」

通信室のソクと闇夜

「…隊長、書庫で調べてたのさぁ、CCPSとACとKZDSだっけ?」
「ああ…。それとね、KCってのもある…」
「…KC?」
「キス中毒…」
「…」

会議室
ミンチョルから拉致監禁されていた状況を聞きだすBHCスパイたち
心配そうに見つめるミン

「僕は…僕はMr.Nに助け出され、そして…、たちショたちショ…あああうぅぅぅぅっそんなっ僕がそんな事をするはずがないのにっなぜっなぜあんな事をしてしまったんだぁぁぁ」
「落ち着いて!大丈夫!大丈夫だから」
「…ミン、その隠し撮りVTRというのは?」
「…はい…これですが…彼には見せたくありません…」
「…解った。ミンチョルさんを別室で落ち着かせて。もう少し協力して貰いたいからたっぷり落ち着かせてあげなさい」
「はい。行こう」

席を立つミンチョルとミン

「ああ、忘れていたが別室にはもう一組カップルがいる。一応カーテンで隔ててはあるが…その…」
「…。解っています…さあ行きましょうミンチョルさん…」
「…ミン…」

ミンの肩に頭を預けて会議室を出て行くミンチョル

「これが監禁現場に落ちていたという問題のVTRだ」

VTRを検証するスパイ達
画面にはうすぼんやりと、縛られているミンチョル、弱っているミンチョルが映っている

ゴクリ
「あんた!何興奮してるんだよっ!」
「ししししてないってば…」
「静かにしろ!」

倉庫らしきところの扉を開けて、Mr.Nらしき人物が映る

「…ジャ・オサキニ」

VTR検証を終える

「銀狐ともあろう人物が、あのような『立位排泄行為』を行うだろうか?」
「意識が朦朧としていたらわかんないじゃん」
「しかし…そんな事は彼のプライドが許さないと思うな。それに…僕個人としても彼にそういう行為はしてほしくない…。あくまでもタカビーな銀狐でいてもらわないと僕としては…好奇心が萎えてしま…」ばっちーん☆「いてぇぇぇぇえん本気でなぐったぁぁラブぅぅ痛いよぉぉぉ」
「ばかっ!」
「とにかくだ、ギョンジンの言うように、彼は相当プライドの高い人間だ。そして、父親の引き起こした問題等から見ても、『軽』とはいえ『犯罪』と名のつく事はしないはずだ。それ以前に…道端で処理などもってのほかだろう」
「そうです!銀狐は、たとえ死んでも『道端立位排泄行為』を拒否、いや拒絶するでしょう!そうでなくては僕の銀狐ではありません!」
「僕の?は?あんた本気で言ってるだろ!」

ラブ、ギョンジンの頬をぐいいいんと引っ張る

「ひょひょひゃめれくらひゃいっらぶひゃまっ」

「という事は…ギョンジン、お前、どう考える?」
「はひ…僕の考えとしては、銀狐は始めからシェラトン・グランデ・ウォーカーヒルズにいたと。つまり、襲われ、拉致監禁されたのはウォーカーヒルズの別のスウィート。
そして脇腹を殴られ、フェロモンとホルモンの分泌が一時的に異常になった彼に、なんらかの『糖分』を与え、幻覚症状を引き起こさせたかあるいは、意識を朦朧とさせた状態で、このVTRを見せ、あたかも彼自身がこのような体験をしたように思い込ませた…」
「何のために?」
「もしもそれが『りゅ家の甘白』ならば…弟の個人的な恨み…」
「それだけか?」

「いえ…多分、画廊オーナーにも関係した複雑な怨恨が…」
「怨恨なぁ…」
「妬みとか…」
「それでギョンジン、ラブ、例の『眼鏡男と可愛い眼鏡取り男』は見つかったのか?」
「あ…はいそれが…」
「見つからなかった?」
「いえ…既にソヌさんが身柄を確保してまして…」
「へ?」
「あの…画廊オーナーを自宅まで送っていったら二人がいたので事情徴収をしたところ…銀狐を訪ねたと言うので身柄を拘束していると…」
「…」
「で、もうすぐ連れて行くからゆっといてって僕に…あ…報告…忘れてた…」
「…すぐソヌに連絡して、画廊オーナーも一緒に連れてくるよう…」

バタン
「お待たせしました」
「ソヌ!」
「イヌさん、ウシクさん、スヒョンさんをお連れしました」
「…手回しがいいな」
「ええちょっと知り合いが『もう少し短くできないか』と悩んでたんで、時間短縮のために気を利かせました」
「…すまないな…」
「いえ、後輩のためですから…」
「…では…順にお話を伺いたいのだが…」
「僕の…僕のドンジュンを探してくださいっ!ああ…今頃どこで何をしてるんだろう…かわいそうに…早く、早く助けてくださいっあああ」
「スヒョン…落ち着くんだ」
スヒョンを抱きしめるイヌ
「やめてえええっ!」
割り込むウシク

「あああ…すいません、順に話を聞きますので、暫く別室で待機を…。ソヌ、別室にお連れして、ああそれから別室にはほかに2つのカップルがいるから…。
それぞれカーテンで仕切ってあるから…すまんが…」
「ラジャ」

「ふう…まったく参ったな、ほとんど同じ顔の連中だからなぁ…むむむ…」
「は?ボス、なにか?」
「いや…。ところで闇夜、例の実験の準備を…」
「…いよいよですね…」

「でもボス、『りゅ家の甘白』問題が確認されたからといって、それがMr.Nに繋がるのでしょうか?あのVTRに出てきたMr.Nは…一体…」
「ギョンジン、もしも銀狐に予想通りの変化が現れたら、まだシェラトンにいるホンピョ、ドンヒ、それからスウィートで張り込んでいるジホ、チョンマンと連携をとりながら、三馬鹿のうちの『フクスケ』を逮捕だ。吐かせよう!目的は何か、Mr.Nはどうしたのか、あのVTRは一体なんなのか…」
「らじゃ!僕の銀狐のためにも、その辺りはハッキリさせないと」ぶぁっちいいいん☆「あんっ痛いようらぶぅ…」
「なにが『僕の銀狐』だよ!あんたなんか大ッキライ!」
「あぁん~やきもち妬いてるラブが可愛いん…」


「カーット!お疲れ様でしたっ。さあ後はミンチョルさんが錯乱するシーンと、ソンジェさんを吐かせるシーンですね」
「ごくり」
「何?なんでゴクリしてんのあんた」
「だって…ミンチョルさんが『錯乱』だぞ!…きっと…色っぽいだろうなぁ…くくく」
「ねぇ…ほんとにキライになってもいい?!」
「あああん…だめぇぇぇ…本とはぁラブにぃ『錯乱シーン』やってほしいのぉぉ」
「ふんっ!」
「ミンギィ」
「…あ…ジホ監督…なんですか?どこ行ってたんですか?」
「いやぁチョンマンがもう困っちゃうよぉ…」
「はあはあはあ…ぐすぐす…」
「泣くなよ…また今度ちゃんとやろうな?」
「うっううっええっぇっ…」
「…どうしたんですか?」
「いや、チョンマンがうちに上がりこんで僕に迫るもんだから困っちゃってさぁ…」
「違いますっ監督がっ無理矢理っあっううっ」
「…何したんです?」
「え?いや、乱れるチョンマンを眺めて楽しんでた。泣き叫んで懇願して…色っぽかったなぁふふ」
「あうあうっ監督っ誤解を招くような表現はやめてくださいっ!えうえうっ」
「…どうなってるの?」
「僕の航空チケットを自宅に隠したから探してごらんっていうからっ…探しに行ったんです。1時間以内に探せなかったらチケット燃やすってあうあうっえうっ」
「見つかったの?!」
「ええんええん見つからなくてぇぇん…んで、燃やすって言うから土下座して泣きながらお願いしたんです…したら…き…キスしたら今回は燃やさないって…だから僕…キスしたんです…したら…えっえっ…どんどん濃いキスしてきてっえっえっ…」
「…」
「もう僕耐えられなくなって…したら…頃合いを見計らったように『今日はここまで、次回こそ見つけてね、さぁ撮影に行こう』ってチケット持って、えっえっ逃げ出してぇっぇっええんええん…」
「…」

「でさ、撮影の事なんだけどさ、しょうもないシーンはカットしなきゃいけないと思って」
「ええ、誰かさんのおかげで沢山ありますね…」
「ふぅんそう?でね。このシーンは要らないよ、BHCのスパイ達の会話だけで成り立つ」
「…重要じゃないですか?」
「内容的には重要だけど、こいつ、出さなくていいさ、フィルムの無駄。アドリブゼリフ多いし無駄な動きするし、画面がだれる」
「…なるほど…。解りました。たまにはいい事言いますね、監督」
「無駄はキライだ」
「それは絶対ウソでしょ?…はああいじゃあ休憩の後、ミンチョルさんの『錯乱シーン』、そしてソンジェさんに吐かせた後のスパイ達の会議のシーンいきまぁぁす」

かくてソンジェのシーンはカットと相成った…


ソンジェです・・ びょんきちさん

ソンジェです
僕のシーンがカットされるとです
重要な役だと言われたから映画に出たのに・・
なんだか全然話が違うとです

なにが『りゅ家の甘白』ですか?
馬鹿にするのもいい加減にして欲しかとです
ちょっと油断してここ見ないうちに
僕は一番の悪者に仕立てられとるとです

うちにはエリザベス女王も来たとです
ここでは一番家柄が良かとです
そんな本物の貴公子の僕に向かって
ここの連中は『フクスケ』とか『はにわ』とか言うとです

なして僕は犯人役にされるとですか?
なして僕はオールスターサミットに呼ばれんとですか?
なして僕は野球チームにも交ぜてもらえんとですか?
ほんなこつ腹が立つ・・ほんなこつ情けなか・・

ソンジェです・・
ソンジェです・・
ソンジェです・・

「はーい、カット!ソンジェさんOKです。泣きが入ってて良かったですよ」
「ミンギ、今何撮ってたの?」
「あっ、ジホ監督、ソンジェさんの独白シーンです」
「そんなのいらないからカットしちゃって!」


実験と結果  ぴかろん

(本部)
『狐体実験』とタイトルが入れられたVTRが回っている
既に微量の『りゅ家の甘白』を摂取したミンチョル
異様な汗をかき、震えている
目がうつろになり、震えた手で額を押さえている

ミンチョルの前にはギョンジンがいる
ミンは別室ガラス越しにミンチョルの様子をハラハラしながら見ている
同じくハラハラしながらラブもその部屋を見つめている

「あ…ああ…しょこにいるのは…ミンれしゅよね?しょうれしゅよね?まちがいない!」
「…。僕をギョンビンと間違えているようです」

小声でマイクに報告するギョンジン

「あ…ああ…僕は…ごめんなしゃい…くりいむぱんを隠れて五個食べました」
「いつ?」
「しゃっき食べました。甘すぎて口の中がへんれしゅ…ああ…」
「…。実験行きます」

ギョンジン、俯いてさっと前髪の長いかつらをつける

「Mr.N!ううっせんじちゅはたしゅけてくだしゃってありがとう…お陰で僕は…恥をかかじゅにすみました…いえ…でも自尊心はきじゅつき…ああ…しょしてらちかんきんしゃれ、ちーじゅけーきとちょこれーとぱんとくりいむぱんの冷凍天国にちゅれてこられ…しょして…ああうああう…」
「…(ごくり)。どどどうしましょう…ネクタイを緩めてボタンを外そうとしていますが…」
『兄さんっダメっ!止めさせて!』

マイク越しに叫ぶギョンビン

「どうやって」
『優しくハグを…ああ…ボス!どうして僕が中に入っちゃいけないんです?僕なら彼を癒せるのにっ!ああっ』

「優しくハグ…。ミンチョルさん、大丈夫、落ち着いて…ボタンは外さなくていいよ、ネクタイだけ少し緩めて…ね?」はぐううう…
「はううはうう」ぶちぶちっ
「うっ!」ダラダラダララー
『にいさんっばかっ!』
『ばかギョンジン!何鼻血出してんだよっ!』
「あうう…ラブぅこれはそのっ銀狐の前足がぼかっと…」ぼかっ☆「あぐぐ…唇まで切れた…」
「あ…血ら…ミン、大丈夫?どしたの?血なんか出して…じっとしてて、僕が手当てしたげゆね」ちゅうううう
「はむ…むうう…う…はへん…」
『にいさんっ!離れろぉぉぉうわぁぁん』
『やだっ!何この色っぽいシチュエーションっ!ひどいよっ狐じゃなくて吸血鬼じゃんかぁぁやめてよぉぉ!俺だってギョンジンの血までは吸ったことないのにぃぃうわぁぁん』
「しょっぱい…しょっぱ…はっ!僕は…僕は一体…はっ…ミンじゃないっ!お兄さんだっ」

血のしょっぱさに我に返ったミンチョル
ギョンジンも我に返り、呆然とガラスの目玉になっているミンチョルに微笑み、そっと唇の血を拭ってやる

『にいさんっ触るなぁぁぁっ!』
『いやだっそんないやらしい触り方するなぁぁエロミンーー!』

別室で泣き喚くギョンビンとラブ

「…おにいしゃん…」
「大丈夫?」
「僕は一体何を…」
「今何があったか解ってる?」
「…えと…ミンがいて…ミンに僕の罪を報告していたら、急にMr.Nが現れて、僕は彼にお礼を述べた後、僕のした事を告白していて、したら苦しくなってネクタイを緩めてボタンを外そうとしたんだ…そしたらミンがそんな事しなくていいって優しくハグしてくれて…。でも僕は苦しくなって暴れたんだ…。ミンが鼻血を出して唇から血を出していたから僕は唇の血を吸って…。気がついたらお兄さんがここに?どうしたんです?」

「…。混乱しているようです」
『うわああんミンチョルさぁぁん』
『うわああんギョンジンのばかやろー』
『こちらも混乱している…』
「とにかく…しょっぱい味のもので元に戻ったようですが…」
『よし、シェラトンにいるソンジェを逮捕だ…』


(再び本部)
実験が終り、ぽやんとしているミンチョルの頭を抱きしめ、ずっと泣いているミン
ソンジェは手回しのいいソヌによって逮捕、連行された

「ソンジェの取調べはどなたが?」
「ソクとスヒョクが吐かせたようだ」
「で?」
「…ビンゴ…予想通り…」
「やっぱり?理由は?」
「個人的な恨みってのが大きい」
「じゃ、VTRのMr.Nは本物?」
「いや…テレビで見かけた芸人が少しばかりMr.Nに似ていたので、金に物を言わせて雇ったらしい。そいつにミンチョルさんの髪型のカツラを被せ、立ち○ょんシーンも撮影し、二役で使いまわしたそうだ…」
「その芸人から裏は取れますか?」
「そっちはソヌに任せたから抜かりはない」
「…で、ソンジェはMr.Nの居所を知っている?」
「…それが…解らないらしいんだ…」
「…という事は、あいつは犯人ではない?」
「いや、犯人のうちの一人…と考えていいだろう…」
「画廊オーナーに毛糸を編ませたのもソンジェ?」
「…毛糸を銀狐に渡して脅す役割は担ったが、画廊オーナーに対する怨恨はないらしい…」
「複数犯」
「三馬鹿全員が…多分犯人…。だが主犯は誰なのか…」
「…あとの二人もツメが甘そうだしなぁ…」
「眼鏡男と可愛い眼鏡取り男の聞き取り調査は、今闇夜がやっている」
「闇夜が?なんで?」
「いや…どうしてもやりたいって言って…にらみつけられてな…怖くて…」
「…できるのか?闇夜…」
「はぁぁん…心配だよぉぉ」
「どうしたテソン、お前にしては珍しく涙目だけど…」
「らって…」
「らりるれってるし…」
「らぁぁぁってぇぇぇぇ…闇夜ったら嬉しそうに黒板にチョークで線引いて貰うとか、外した眼鏡をかけて貰うとか…一杯リクエスト書いて…」
「ホ○トクラブと間違えてるんじゃないか?でも大丈夫だよ、可愛い眼鏡外し男がついてる。そのリクエストは全て却下されるだろう…」
「ほんとぉぉぉ?よかったぁぁぁぐすぐす」
「…テソンが泣くなんて…」
「…ギョンジン…」
「ん?なんだラブ」
「かっこいい…」

ずっとギョンジンの袖を掴んでいたラブが真っ赤になって俯いている

「あへはへあへぇぇん…ラブぅぅぅむちゅーっ」
「んぐぐぐ…」

「かっとぉぉっ!もうっ!ギョンジンさんっここはチューなしでかっこよく決めてくれなくちゃ!」
「んむんむはむむはむむちゅうちゅうんちゅっ…はあはあはあ…ああん美味しいい…」
「ギョンジンさんっ聞いてるのっ?」
「はぁぁんミンギィ…あとでカットしてよぉぉんふふはむはむはむは」ばちいいいん☆
「しつこいっ!」
「はあああんらぶぅぅう」
「ジホ監督っここはカメラ回さなくていいんじゃないですか?」
「何言ってるの、美味しいキスシーンは満載にしとかないと…」
「だって繋がりないし、それに一体何時間の映画になるんですか!」
「特典映像だよ」
「本編より特典映像のが異常に長いですよ!」
「いいのいいの。ディスク五枚組みにして二十万ウォンで売るんだ」
「…売れませんよ…」
「ふっ…ミンギ…甘いな…。ギョンジンくん、もっと濃いのやって!」
「んむむふぁぁぃ…」はむはむはむ
「かんとくぅぅぅ…」


密談再び・・ れいんさん

「諸君、忙しいスケジュールの中集まってもらってすまない」
「いったいどうしたんだい?ソンジュ君」
「そうだよ。ドラマの打ち上げの最中だったのに呼び出されて正直迷惑してるんだ」
「実は、とうとう僕達に捜査の手が伸びてきた」
「「え?」」
「Mr.Nは今どこに?」
「え?誰かがちゃんと監禁してるんじゃなかったのかい?」
「彼はかなり自由に行動しているみたいだ。都内のカフェ・本屋・おでん屋、色んな所で目撃されている」
「「あ・・」」

「君達!どうしてちゃんと監視していないんだ!」
「僕は今、兵役中で・・四六時中監視なんて無理だ。今日抜け出して来るのも大変だったんだ」
「僕だってドラマ出演で忙しかったんだ。弁当屋で働いているけど実は御曹司って役どころ。僕にぴったりだろ?」
「君はどうしてそう御曹司に拘るっ?もっと違う役に挑戦してみる気はないのか?」
「うっ!・・僕のマイルド系の顔は御曹司役しかできないんだ。そういうソンジュ君こそ何やってたのさ!」

「僕はおーるすたーさみっとに行ってたし、マルチュク通りもに行ったり、こいする神父になったり色々忙しかった
今もうつくしい野獣な刑事役でアクションに挑んでいる」

「ほぉぉ~だからロン毛に不精髭なんだね?」
「何感心してるのさ、チョンウォン君。ソンジュ君それって何気に自慢してるの?僕がドラマ専門だとでも言いたいの?」

「そのつっかかる様な言い方気に入らないな。ふん!・・ところでソンジュ君、君シェラトンスイートにお兄さんそっくりの青い瞳の子供を監禁してたって本当かい?」
「うっ・・なぜそれを」
「まったく!君の金銭感覚はどうなっているんだ?無駄な経費を使うのはやめてくれ」
「でもあの子は重要な証人だろ?外部との接触は極力避けた方が」
「だからって何でスイート?それに証人だからと言うより個人的な事情で監禁したんじゃないのかい?」
「うっ」

「彼に嫉妬のあまり逆恨み・・君のやり方は間違っているよ。
そんな事をするよりも、なぜ彼が君より顔が大きくても、シークレット疑惑があっても
その一挙一動に女性達がなぜはふんになるのか研究しようとは思わないのか?
放送コードぎりぎりのちゅうとか、フェロモン出まくりの仕草とか、様々な物をポチさせる魔力を持つあの眼差しとか・・
なぜそれを学ぼうとしないんだ!」

「そこまで言うなら言わせてもらうよ。ソンジュ君。それを学んだ結果、君はどうだったのさ。
腕掴みもデコ鼻ちゅうも、二番煎じでどこか物足りないって囁かれていたじゃないか」
「なんだって?それは聞き捨てならないな!」

「まあまあ、二人とも・・。ここで仲間割れしちゃ元も子もないよ」
「チョンウォン君!何を呑気な事を言ってるんだ!」

「そうだよ。悪いけどチョンウォン君にもはっきり言わせてもらうよ。
君・・無理ちゅうされた時、棒立ちで目パチクリしてただろ?それってどうなのさ?」
「そうそう。それにバーに呼び出した女性がミルクを注文した時に『バーでそれはないだろう?ハハハ』くらいのツッコミはしてもよかったんじゃないのかい?」
「君達、ひどいじゃないか!」

「ちょっと待ってくれ・・。少し落ち着こう。これじゃ話にならない」
「そうだね。・・僕達これからどうしたらいいのさ。これじゃ身代金の要求もできやしない」
「とにかくMr.Nの居所を探さなくては・・」
「でも、キャンペーンも終わったし、手がかりはもう・・」

「実は・・僕が密かにMr.Nをおびき寄せるメールを送っておいた」
「ソンジュ君!・・おびき寄せるメールって・・」
「うん・・。『すんげえ旨いうな丼を用意している。1時間以内にここに来ないと全部平らげちゃうぞ』とメールしておいたんだ」

「そんなメールでのこのこ彼が来るとは思えない」
「いや、あながちそうとも限らない。彼はうな丼には目がないと極秘に情報を入手した」
「じゃ・・1時間以内って・・」
「そう・・そろそろ来る頃かもしれない・・」

御曹司3人、ゴクリと唾を飲み込みじっとドアを見つめる・・




「はい!カーーット!OKっす!よかったっすよ!ソンジュさんアドリブでがんがん長ゼリフ言ってましたね」
「いやぁ~日頃思っている事がつい・・。えへっ」

「僕ちょっと納得いかない所あるんだけど、撮り直しできない?」
「ソンジュさん、そんな事ないっす!バッチリです!」『残りフィルムもうないし・・あ!フィルム途中で切れてんじゃん!』

「あのさーー僕達いつも同じ顔ぶれでつまんないんだけど。濡れ場とかスパイとの色っぽい絡みとかそんなシーンないの?」
「チョンウォン君だっけ?悪いがそんな予定はないっ!僕は色気のない奴の・・ふがっ!」
「もう!ジホ監督は黙ってて下さい!」
「ミ、ミンギ・・」

『余計ややこしくなるでしょ。・・ところでジホ監督さっきの途中でフィルム切れてたんすけど撮り直しします?』
『必要ない。適当に切って、足りないところは部屋全体をカメラ引きで撮ってたのがあっただろ?あれに声だけ被せて編集しろ』
『ラジャ!』

「えーーっと・・皆さん、あのぉ・・控え室の方にスマイル弁当3個用意してますんで、次のシーンまで休憩いっちゃって下さい。・・んじゃ、そういう事で、お疲れ様でしたーー!」


眼鏡男の弱点  妄想省家政婦mayoさん

(本部別室)
イヌとウシクの座る椅子の周りを一周し....リモコン操作する闇夜....

♪oh~~クデヌン アルムダウンヨイン クリゴヘンボカンゴンナ~~ a~ メマルン ネ マム タンビチョロム
 イチョジン セビョゲ ネウムチョロム オンジェナ ネ マム ムンドゥルゲ ハジ~~♪

「あ!!やめて!その曲かけないでっ..せんせいっ#」

取り憑かれた様に椅子から立ち上がりのろのろと可動黒板の右端へ立つイヌ....
ふふん#とほくそ笑む闇夜....ウシクは後ろから両肩を抑えられ動けない..

♪oh~~クデヌン アルムダウンヨイン.......

チョークを持ったイヌ....右端から左端へゆっくり移動し始める...
黒板の左端まで一本の線が書かれた...

「せんせいっせんせいっ!!いや#いや#...振り返っちゃやだ#駄目#曲を止めてぇぇ~~」

♪チャマ サラハンダゴ マルハギエヌン クデ ノム チョアヨ~~~♪

イヌがゆっくりと振り返る...

「せんせぇぇ~~」
「はぁ....やっぱええなぁ....うっとりや....」
「どうして...どうして先生のBSCを知ってるのっ#ねぇっねぇっ#..」
「ふふん#.....」

♪チャマ サラハンダゴ マルハギエヌン クデ ノム モロヨ~~クデ モルリン ソンジッマン ハンゴンガヨ ~~♪♪

胸のポケットから眼鏡を取り出すイヌ....
俯き加減で耳に眼鏡のテンプル(ツル)をかけ...顔を上げる.....

「ぁぁん...しぇんせぇぇぇ~~」
「ぁ~~.....ええもん見せてもろた...」

闇夜...ウシクの肩を離し...曲を止め...満足気に部屋を出て行く
ウシク...イヌの懐に飛び込み...イヌの胸を両手で叩く....

「先生の馬鹿...馬鹿馬鹿ぁぁぁ....ぐしゅ...ぐしゅっ...」
「ウシク...僕.....また..」
「そうだよ先生っ...BSCだよっ....」**バンジーサウンドチュードク
「はっ#....@@...」
「ええんええん....;;ToT;;」
「ごめん...ウシク..あの♪がかかると...つい...ごめん...ウシク...」

イヌ...うるうる顔のウシクの両頬を包む...イヌの唇がウシクの唇を包み込む....

「はんっ..せん...せいっ...」
「ウシク....はむっ...はむはむはむ....」

足下が崩れるウシクを支えながら柔らかな接吻が続く....

(本部会議室)
会議室に戻って来た闇夜....そそと側によるテソン...2人の前に立つボスチェミ...

「闇夜....事情聴取は?」
「ぁ...忘れた....」
「ぉぃぉぃ~~何してたんだっ#...ったぐっ...」

ぐぅー★を落とそうとするボスチェミの手をパシッ#と止めるテソン....
2人の間をするっ@っとくぐり抜け逃げる闇夜.....

########

「ねぇ...僕までおかしなびょーき抱えるのってさぁ」
「そうだよ...先生はカンウンセラーの設定なんでしょ?ぐしゅ...」
「このシーン誰のためよ...話も進まないし...」
「テソンさ~ん...しょうがないっス....僕もおっかないんで...」
「でもさぁ~...」
「んでもボスの手止めたとこ...格好良かったスよ?」
「そ..そ?チカラ込めたんだ....」
「ぁ....はぁ....」

本部の隅には皆に隠れて自分の腕を擦るちぇみがいた...








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